2009/03/03

// 木洩れ月夜






 木 洩 れ 月 夜 

千年樹林



八重むらさきに 谷を染める 月の光


絹の糸引く木洩れ月 かすかに届くその先に

忍んで暮らす人ひとり

なぜそこに

いつからそこに 尋ねる人もなく



夜露のような深い眼差し

もう 若くはない人だから

人の流れの中を 彷
さまよ徨ったのかも知れない

時の流れの中で 翻弄されたのかも知れない







千年樹林 泉に揺れる 月の光







昔 落人が 住んだ 隠れ里

今も 忍んで暮らす 人 ひとり

なぜここに

いつからここに

める人も 今は もういない







風の音に追われ 月の光に怯え

遠くへ

遠くへ

この世の果てへと 逃れた 都
みやこびと



恨みも 祈りも 包んで

むらさきの谷 

今も 密やかに 木洩れ月夜



恨みも祈りも包んで 

むらさきの谷 今も 密やかに 木洩れ月夜





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