木 洩 れ 月 夜
- 千年樹林 -
八重むらさきに 谷を染める 月の光
絹の糸引く木洩れ月 かすかに届くその先に
忍んで暮らす人ひとり
なぜそこに
いつからそこに 尋ねる人もなく
夜露のような深い眼差し
もう 若くはない人だから
人の流れの中を 彷さまよ徨ったのかも知れない
時の流れの中で 翻弄されたのかも知れない
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千年樹林 泉に揺れる 月の光
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昔 落人が 住んだ 隠れ里
今も 忍んで暮らす 人 ひとり
なぜここに
いつからここに
咎める人も 今は もういない
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風の音に追われ 月の光に怯え
遠くへ
遠くへ
この世の果てへと 逃れた 都みやこびと人
恨みも 祈りも 包んで
むらさきの谷
今も 密やかに 木洩れ月夜
恨みも祈りも包んで
むらさきの谷 今も 密やかに 木洩れ月夜
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